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京大数学の難化から見る大学入試とAI、思考力重視について

こんにちは、Feels(@Feels37) です。今年の入試は大変ですね。

今年の京大の数学の問題が、近年で最も難しいレベルだったということで、ちょっとした話題になりました。受験の世界ではかなり衝撃的だったようです。

去年の京大数学は全問解けた僕も解いてみましたが、解けたのは6問中2問のみでした。どの問題も非常に難しく、僕のような素人ではなかなか歯が立ちません。

入試問題は、「その大学が欲しい生徒」を決めるものですから、入試問題から「現在求められている能力」がわかるといえます。

今年の京大数学はとても語りがいがあるので、僕なりに分析をしてみました。

なお、この記事では来年度以降の出題傾向や難易度変化を予想する部分がありますが、それは次年度以降の受験生が利用できるほどの精密さではありません。ご注意ください。

最近の京大数学は簡単。今年急に難しくなった!

今年の京大数学について語るうえで、まずは近年の傾向を説明する必要があります。

今年は去年までの易化※傾向とは一転、京大数学は非常に難化※しました。

WORDS

※易化・・・問題が前年と比べて簡単になること。たぶん受験用語。「いか」と読む。
※難化・・・易化の反対。問題が前年と比べて難しくなること。これもたぶん受験用語。

これまでの傾向を大きく跳ね返すような難易度変化に、ほとんどの受験生は対応できなかったでしょう。

しかし、解けない=不合格、というわけではありません。受験とは「高い点数の人が受かる」システムですから、皆が解けなければ、自分が解けていなくてもさほど問題ないのです。

それだけではなく、問題が難しい=点数が低いわけではないという受験のカラクリもあります。ここに「求められている能力の変化」を考えるのに大切なポイントがあります。

京大数学は出来と点数が一致しない

見出しの通り、京大数学は答案の出来と点数は一致しません。

ただしここでの出来とは、答えが合っているかなど、素人目でもわかるような出来をいいます。京大数学の採点者は数学のプロですから、採点者から見た答案の出来と点数はもちろん一致します。

すこし話題が逸れましたが、ではなぜ「答案の出来と点数が一致しない」ということが起こるのでしょう?

それは、問題だけでなく、採点基準でも難易度調整ができるからです。

京大数学には解答欄がない

高校入試やセンター試験(大学入試共通テスト)などとは違い、京大数学は全て途中過程を書かなければならず、途中過程が書いてなければ0点になってしまいます。

途中過程を書いていても、間違ったことを書いていたり、触れておかなければならないことに触れていなければ減点されます。

他にも「ベクトルの一時独立を言わない」、「ax^2+bx+c=0の判別式を、a=0の場合を別にせずにそのまま使ってしまう」などは減点されます。「明らかであるから書かなかった」という場合でも減点される場合が多いといわれています。

そこで、採点基準が大事になってきます。問題が難しくても、減点の大きさを減らす、あるいは減点しないようにすれば、素人目から見れば出来が悪くても点数を高くすることができます。

反対に、問題が簡単な年だと、多くの受験生が答えまでたどり着いているわけですから、計算ミスやちょっとした過不足が見つかった時に大幅減点をすると、受験生間で差をつけることができるというわけです。

今年は問題が非常に難しかったわけですから、採点基準はかなり緩かったようです。大事なことがちょっと抜けていても考え方の大筋があっていればたくさん点がもらえました。

計算ミスにも甘く、去年は「ミスれば0点」という問題もいくつかあったのに、今年は計算ミスをしてもかなり点数が残ったようです。

「AI人間」が不利だった今年の京大数学

上に書いたように、今年の京大数学は採点基準が緩く、計算ミスにも寛容でした。

減点となるのは、数式のエラーがほとんどです。しかし大学以降の数学では、数式のエラーはコンピューターに数式を入力する時点で気が付きます。

コンピューターに計算をさせようとした時に、「数式にエラーがあります。直してください」と言われるからです。

大学入試ではコンピューターを使うことはできませんが、大学に入れば計算にコンピューターを使えます。つまり、実際の数学では人間はエラーを発見する必要がないのです。

計算ミスについても同様です。実際に数学の研究、あるいは数学の研究をする際にも、コンピューターを使えば計算ミスは起こりません。

コンピューターは今や誰もが持っていますから、「細かい数式のエラーにも気を配れる」という力、「計算を正確に行える」という力も誰でも持っているということになります。

現在は人工知能(AI)が発達の途中にあり、コンピューターで計算できる数式はさらに増えるでしょう。それを受けて、京大も「コンピューター・AIがカバーできる部分は間違えても良い」という考え方になったと推定できます。

AIは人間のような思考力を持っていません。思考力を持つAIができるのは随分先になるでしょう。京大は「思考し、方針を立てられる」学生が欲しいわけです。

計算力<思考力 の入試問題

2020年度の京大数学は問題が非常に難しく、一方で採点は甘い(と予想される)ことから、

「計算力は高いが思考力が低い」学生は

「計算力が低いが思考力が高い」学生に負ける

ことになったと推測されます。

つまり、「答えまでしっかり合わせる」ことの価値が低下した、別の言い方をすれば、

「方針を正しく立てられる」ことと「方針を正しく導き、さらに答えも正しく導く」ことの価値の差が小さくなってしまったといえるでしょう。

これは近年の学校や予備校の考えとは相反するものです。近年では「答えも合ってはじめてまともな点数が出る」と思われていました。

京大模試では、答えが間違っていれば方針が正しくても半分しか点が与えられないという採点がされることも。このことの影響で受験生も「なんとか答えを合わせないと」という意識を持っていました。

しかし、今回の試験では「計算を見直してミスを発見する」ことに時間を使っていては「問題の解法(方針)を発見する」ことに時間を割けず、結果として点数は低くなってしまったのです。

やはり、AIに任せられる能力の評価は低くなったということが言えます。

計算力が不必要というわけではない

2020年度の京大数学は計算ミスに寛容だったということで、計算力はもはや評価されないのではないかという書き方をしてしまったかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。

計算力は高校数学でもやはり重要ですし、実際の数学つまり大学以降の数学でも必要です。

計算を簡単にするための思考力とプログラミング

高校教師や予備校教師は「考えて計算しろ!」とよく言います。本当にその通りです。

高校数学の範囲でも、下の画像のように「考えて計算する」ことで、ミスを無くすことができます。つまり、思考力で計算力を補うことができるわけです。


さらにこのような「計算を簡単にしよう!」という意識は、大学以降でプログラミングを学ぶ際に重要です。

計算が大変なのは人間も機械も同じようで、計算が簡単に済むほうが処理が速くなるそうです。

つまり、最後まで計算を完璧に合わせる必要性は小さくなってきているが、実際に計算をしていく中で工夫をしていく能力は必要だということです。

結局、計算練習をして、自分で最後の答えまで出す訓練をしなければならないのはこれからも同じです。ただ、「正しい答えが出ないと無意味だ。不合格だ。」という強迫観念は薄れていくでしょう。

僕はその方が良いと思います。最後の機械的な計算で、自分の考えた方針が全否定されると考えるのは、数学嫌いの原因にもなりますからね。

まとめ

POINT

1, 今年の京大数学は難しい!
2, 難しいときには方針だけで高得点になりやすい
3, 方針を立てるのは人間にしかできない。そこを評価か?
4, 計算練習も数学力の向上に大切

AIの使用を想定した入試に変わりつつある、ということでしょうか。

さすがに受験生にコンピューターを使用させるわけにはいきませんから(カンニング防止のため)、AIがあればこの生徒はどれくらいの能力になるのか?ということを見ているのでしょう。

さいごに

僕にしてはかなり長い記事を書きました。こんな分量は初めてです。

ただでさえ文章を書いてまとめるのが下手な僕ですが、大きい絵を描くのが難しいのと同じでしょうか。この記事の執筆も難しかったです。

なにか重大な間違いやご意見等ありましたら、お問い合わせいただけると助かります。

最後まで読んでくださりありがとうございました!